金属の板を曲げる時、板を曲げた外側は引張られ、曲げた内側は圧縮されます。伸縮する事のない紙でできた電話帳を90度に曲げると下図Aのようになります。これが伸縮性のある素材で作られていると仮定し、ある伸縮しないページが存在しその内側のページは圧縮され、外側のページは伸ばされることをイメージしたものが図Bです。展開寸法とは伸びも縮みもしない板厚方向におけるある位置(中立軸という)の線長であると言えます。
当社では、次の計算方法でコイニング曲げの展開計算をしています。
展開寸法 = 外形寸法の合計 - 板厚×1.5×曲げ回数
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板厚t0.5~t3.2まで、計算誤差は0.1mm程度におさまる事を社内的に確認しています。素材が違っていてもほぼ適用可能です。 (条件 = 内R0.3、ベンダーV幅は板厚×5~6倍)
この計算方法を検証いたしますと、中立軸は曲げ内側から板厚の約40%の位置としている事になります。
展開寸法L = Y + X + 1/4 ×2π×(R-t×(1-P))
定数(実測) R=1.3 π=3.141592 X=10 Y=10 L=21.1 t=1.0 としてPを求めると
P≒ 0.4
同様な検証の結果、エアベンド曲げは
定数(実測) R=1.3 π=3.141592 X=10 Y=10 L=20.95 t=1.0 としてPを求めると
P≒ 0.3
中立軸の概念を利用しますと大きなR曲げや角度曲げの展開を高精度にシミュレートできます。